マドエコでは、「正直な商売をする」ということを、仕事をするうえで一番大切にしています。
「嘘をつかない」というのは当たり前の話です。
ただ、私が考える「正直な商売をする」は、それだけではありません。
お客様にとって都合の悪いことを、あえて言わない。
自分たちにとって都合のいいことだけを伝える。
説明しておいた方がいいリスクがあるのに、契約してもらいにくくなるから黙っておく。
こういった、明らかな嘘ではなくても「言うべきことを言わない」というのも、私の中では正直な商売とは違います。
そして実際の仕事では、正直に伝えるほど自分たちが不利になる場面が、意外と多くあります。
気付いたリスクは、見積もりに反映します
お客様のお住まいに伺い、現地調査や打ち合わせをしていると、
「ここは補強しておいた方がいい」
「この部材を追加した方が、将来的なリスクを減らせる」
「このまま施工すると、後々こういう問題が起きる可能性がある」
ということに気付くことがあります。
それを見積もりに入れれば、当然金額は上がります。
30万円、50万円といった工事の中で、1万円、2万円の部材が何箇所も増えれば、総額ではそれなりの差になります。
先日のとある物件でのお打ち合わせでも、ある部分について「このまま進めると、将来的にこういうトラブルが起きる可能性があります」とお話ししました。
お客様は「その視点はなかった」とおっしゃり、その場でご自身でもスマートフォンで調べて、「これは確かにまずいですね」と納得されていました。
金額が上がる話や、工事そのものができなくなるような話は、できればしたくないのが本音です。
でも、言わなかったことで工事後にお客様が困る可能性があるなら、それを伝えないという選択はありません。
「内窓をつければ結露がなくなる」とは言いません
これは日常的にお客様へお伝えしていることです。
インターネットでは「結露対策には内窓」という情報をよく目にします。
もちろん、内窓によって窓まわりの断熱性能が向上し、結露の改善につながるケースはあります。
でも私は、お客様に「内窓をつければ結露はなくなります」とは言いません。
というより、言えません。
結露は窓の断熱性能だけで決まるものではなく、室内外の温度や窓表面の温度、室内の湿度、換気や空気の流れなど、複数の条件が関係しているからです。
さらに、内窓を設置したことで既存の換気経路に影響が出ることも考えなければいけません。
特に、既存窓に換気用の小窓や換気パーツなどが付いている場合です。
そこに普通の内窓を設置すれば、せっかく設けられていた換気経路を内窓で塞ぐことになります。
そのためマドエコでは、既存窓の換気機能を活かす必要がある場合には、内窓側にも換気機能を持たせることをご提案しています。
仕様や施工条件にもよりますが、部材と工事費が追加になるため、窓が何箇所もあれば見積金額にも差が出ます。
「この部材は必要なんですか?」
「他社の見積もりには入っていませんが、必要なんですか?」
と問われることもあります。お客様からすれば、当然の疑問だと思います。
だからこそ、安く見せるために外すのではなく、なぜ必要なのか、付けなかった場合にどんなことが考えられるのかを説明したうえで、お客様に判断していただくようにしています。
掃き出し窓の内窓は、重さをどこで受けるかを考えます
もう一つ、よくあるのが掃き出し窓への内窓設置です。
特にマンションでは、既存の窓枠の奥行きが足りず、「ふかし枠」という部材を使って内窓の設置スペースを確保することがあります。
ここで私が気にするのが、内窓の重量をどこで受けるのか、ということです。
メーカーには、ふかし枠を補強するための部材も用意されています。
ただ、最終的にそれを支えている既存の窓枠自体がどの程度の強度を持っているのかは、壁を開けて下地まで確認しているわけではない以上、現場によっては完全には分かりません。
大きな掃き出し窓になれば、内窓そのものにも相応の重量があります。
私自身が「この状態で長期間問題なく持つ」と責任を持って言い切れないのであれば、そのまま施工することはできません。
だからマドエコでは、必要に応じて下部に補強部材を設けたり、床側で荷重を受けられる納まりにしたりして、できるだけ既存の窓枠だけに負担を掛けない施工方法をご提案しています。
仮に数年後に何かが起きたとき、「メーカーの商品としては施工可能だった」「既存の窓枠の強度までは分からなかった」という話をしても、お客様には関係ありません。実際に困るのはお客様です。
可能性が低かったとしても、自分たちが無視できないと判断したリスクについては事前に説明します。
正直、言いたくないこともあります
ここは綺麗事にしたくないので、正直に書きます。
本音を言えば、そういった話を毎回したいわけではありません。
ご説明が複雑になりますし、見積もりも高くなります。
受注できる可能性だけを考えれば、黙っていた方が有利な場面もあります。
それでも、あえてお伝えします。
なぜなら、
「受注するまでの不利益は当社のものですが、工事をした後の不利益はお客様のもの」
になるからです。
私たちが受注できなければ、たしかに仕事は一件減ります。
でもお客様は、工事が終わってから問題が起きれば、その状態で何年、何十年と暮らしていかなければならないかもしれません。
どちらを優先するべきなのか?
私の中では、その答えは決まっています。
お引き受けできない工事もあります
この考え方を突き詰めると、ご依頼をお断りすることもあります。
例えば「別の会社ではこの仕様でできると言われたから、同じようにやってほしい」とご相談いただいても、私たちがその方法では強度や耐久性、安全性を担保できないと判断した場合には、お引き受けできないことがあります。
もちろん、なぜできないのか、どんなリスクがあると考えているのかはご説明します。
それを理解されたうえで、別の会社に依頼されるかどうかは、お客様の判断です。
ただ、自分たちが責任を持てないと思っている仕事を、お金をいただくために引き受けることはしたくありません。それは最終的に「無責任な仕事」になってしまうからです。
仕事を断るのは、会社としては当然痛いです。
それでも、そこを曲げてしまったら「正直な商売をする」と掲げている意味がなくなってしまいます。
安い会社ではなく、正直な会社でありたい
マドエコは、どこよりも価格が安い会社である必要はないと思っています。
もちろん、同じ条件ならできるだけ適正な価格で提供したいですし、不必要なものを付けて見積金額を上げるつもりもありません。ただ、必要だと考えているものを削ってまで価格を安くすることもしません。
そのため、見積もりを比較したときにマドエコの価格が高いこともあると思います。
そんなときは、金額だけでなく「何が入っていて、何が入っていないのか」まで見ていただけたらと思います。
そして、分からなければ聞いてください。
なぜこの部材が必要なのか。
なぜこの施工方法なのか。
本当にやる必要があるのか。
できる限り理由を説明します。
そのうえで「そこまでは必要ない」と判断されることもあるでしょうし、別の会社を選ばれることもあると思います。それでいいと思っています。
私たちの役割は、お客様の代わりに意思決定をすることではありません。
プロとして知っていること、気付いたこと、考えられるリスクをきちんと伝える。
メリットだけではなく、デメリットも伝える。
できることだけではなく、できないことも伝える。
分からないことを、分かったように言わない。
そして最後は、お客様自身に納得して選んでいただく。
それが、私の考える「正直な商売」です。
正直に話すことで、取れなかった仕事もあるかもしれません。
それでも、一件の仕事を取ることより、工事が終わった後にも「マドエコに相談してよかった」と思っていただける仕事をすることの方が、私にとっては大切です。
そこだけは曲げずに、これからも商売を続けていきたいと思っています。
窓断熱リフォーム専門店マドエコ
今井